長い長い1週間でした。
貴方がこの世からいなくなるなんて
思ってもみませんでした。
ただ、眺めるだけの毎日。
それでも見かけるだけで、一日幸せだった。
貴方が自ら命を絶つことを、選ぼうとしていたなんて、
気付きもしなかった…
貴方とは挨拶と、他には数回言葉を交わしたことがあるだけでした。
想い出なんてほとんどありません…
貴方が両手のふさがった私が出てきた扉を押さえてくれたこと。
会社の納涼祭で、着ていた浴衣が素敵だったこと。
大きな黒い車に乗っていたこと。
トートバックがかわいかったこと。
缶コーヒーが好きだったこと。
課長が「仲いいでしょ?」といった時の苦笑い…
出社時間が近くて、時々朝見かけることができたこと。
笑い方が、儚げだったこと…
貴方を見たいために、現場を通ったこと…
ストーカーチックな想い出ばかりだけど…
先月、部長とOさんと話している時に、喫煙所に来ましたね。
部長に「花は夢みつかったか?夢を持たなくちゃ!」とかそんな話をされている時で、
Oさんには「生かされてるから生きてるんだよね?」みたいなコトを言われ、
私は「夢はもう諦めました。諦めたからココにいるんですよー。」的なコトを言っていました。
そして私はOさんと貴方に「夢、ありますか?」と訪ねました。
貴方は「俺は○○だから…」と言ったような気がします。
でも、私には聞き取れなかった…
聞き返したけれど、
「いや、いいんです。」と、少し笑って言いました…
笑ったというより…なんて言えばいいのかな…
今思えば、諦めた人の笑いっていうのか…
あの時、聞き取れなかったことが、とても悔やまれます。
そして、その後話しかけなかったことも…
前にIさんと貴方が話している時の会話から、
貴方は会社を辞めて、新しい道を進むのだと思っていました。
でも、違ったのでしょうか…
その後話しかけようって、ずっと思ってた。
でも、話しかけることができなかった…
貴方がこの世を去る前日、階段ですれ違いました。
「お疲れ様です」
それが最後の言葉でした。
それが貴方を見た最後になってしまった…
月曜日、貴方の訃報を聞いた時、耳を疑いました。
先週まで、姿を見かけていたのに…
なんで?どうして?
そればかりでした。
何かの冗談かと思いました…
次の日、Kさんに、「私は仲良かったから…相談もされてたんだけどね…もったいないよね…」
そんな話をされて、
一気に哀しみが溢れてきて、現実味を帯びて、
涙が止まらなくなりました。
私は弱い人間だと思っています。
色んな事がいつも不安だし、辛いし、
何をやってもうまくいかないし…
でも、死を選ぼうと思ったことは、無かった…
私の場合は、死ぬことが怖いからだけれど、
その私の怖いと思っている死を選ぶこと…
それがどうしても理解できなかった。
今でも理解することはできないよ…
何か他に方法があったんじゃないかと思う。
まだまだ先にイイコトがあったんじゃないかと思う。
だから、生きていて欲しかった。
詳しい話は知りません。
私は貴方のことをほとんど何も知らないのですから。
共通の知人がいるわけでもない。
でも、なんとか、他の人達は止めることができなかったのか…
そればかり考えてしまいます。
貴方がいなくなっても、会社は回っていきます。
みんなの笑い声を聞くたびに、逆に辛い気持ちでイッパイになってしまいます。
私も笑っています。
なんで笑えるんだろうって思います。
時々泣きそうになるけれど、泣いたのは一日だけです。
人間はそうやって生きていくしかないのかもしれません。
少しずつ、哀しみを忘れていくのでしょう。
でも、貴方のことは忘れません。
私の記憶なんてあてにならないけれど、
顔も声も忘れてしまうと思うけれど、
貴方がいたことは、忘れません。
貴方が選んだ道が正しいとは、やっぱり思えない。
沢山の人に傷跡を残して去っていった貴方は、正しくはないと思います。
でも、静かに眠って欲しいと願っています。